夏目友人帐相关
答案:1 悬赏:60 手机版
解决时间 2021-04-03 16:13
- 提问者网友:动次大次蹦擦擦
- 2021-04-03 09:46
夏目友人帐相关
最佳答案
- 五星知识达人网友:酒安江南
- 2021-04-03 11:08
算了,我贴出来吧
是不是这个
一
今なら言える、君にすまなかったと。
彼が越してくることを知ったのは、高2と高3の间の春休みだった。
「引き取る」
「ああ、仕方ないんだ。お前の部屋においてやってくれないか」
高校にあがったばかりの、つまり仆と同年代の远縁の男の子を、父が引き取るという。
「俺、受験だよ」
「わかってるよ、私たちだってできれば预かりたくない」
「私は反対したのよ」
「よしなさい」
「うちがわざわざ预かることないんですよ、そんな厄介な子。今は立派な施设だってあるんですから」
「そんな不良なの」
「いや、そういうんじゃないんだ、何というか」
「変わってるのよ」
その顷の仆はちょっとナーバスになっていた。受験も勿论だけど、恋爱とか、人间関系とか色々なことがうまくいってなかったのだ。だから、亲戚の子が来ると闻いて、正直迷惑に感じた。一人になりたい所へ急に他人が土足で踏み込んでくるような、そんな郁陶しさを感じていた。
「初めまして、夏目贵志です」
「佐野由人です。よろしく」
「ごめんなさい。せっかくの部屋を二人で使うことになっちゃって」
「いいよ、気にしないで、そういう时もあるよ」
「ありがとうございます」
「まあ、坚苦しくしないで」
「由人は受験だから、そこだけ気を遣ってくれれば、问题ないですからね」
「はい」
「君も年が近いからわかるだろうけど、こいつも色々あってね」
「やめてよ、そういう言い方」
「お友达を连れ込んだり、騒いだり、そういうことがなければいいのよ。分かっていただける」
「はい」
彼との生活は平穏だった。彼は大人しく、礼仪正しい少年だった。仆も彼にとって、决して迷惑な存在ではなかったと思う。冷たくもしなかったし、嫌がらせなんて勿论しなかった。仆は彼の生活に立ち入らず、彼も仆の生活には立ち入ってこなかった。そう、仆たちはそれなりにうまくやっていた。仆の両亲の态度を除いでは。
「お茶を入れましたよ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「どう、勉强」
「あ、それなり」
「そう。贵志君、邪魔しないであげてね、由人は大事な时なんだから」
「はい」
「あ、ごめんね、あんな言い方で」
「いいんです。気にしないでください」
彼は微笑みさえ浮かべていた。多分、伤つく事に惯れてしまってるんだろうと思った。いったい彼は今までどんな风に暮らしてきたのだろう、どんな风に周りとかかわってきたのだろう。
「あ、ごめん。もしもし、あ、久しぶりですね。え、明日こっちに出てくるんですか。はい、大丈夫ですよ。あ、それなら、この前行った吃茶店で……」
「由人君」
电话は年上の従姉からだった。近くに游びに来るついでに、仆の颜を见たいという。
「どう、あの男の子」
「どうって、何が」
「え、由人君あの子の事何も知らないの」
「だから、何のこと」
「そうか、叔父さんも叔母さんも黙ってたのね。君に心配かけたくないんだよ、きっと」
「教えてよ、どういうことなの」
「霊感が强いんだって」
「え」
「见えちゃうらしいの、変なものが。でも家の亲は嘘だろうって言ってたけど。构ってほしくて、そういうこと言うんだろうって」
「あ」
「いい加减行くとこなくなちゃって。それで、叔父さんも叔母さんも断り切れなかったんじゃない。由人君ただでさえ受験なのに、お荷物背负い込むみたいな事、本当はいやだったんだと思うよ」
「あ……」
従姉にはそう言われたものの、仆は信じなかった。オカルトとかそういうものにまるで兴味なかったし、少なくとも、仆の前では、彼は変わらず普通だったからだ。
二
ある日、学校帰りの电车の中で彼を见た。がらがらの车両に彼が乗っていた。彼は电车で一时间ほどの公立校に通っていた。仆の学校とは途中まで路线が同じだった。仆は隣の车両からそれを见ていた。彼はこちらに気づいてなかった、いや、気づく余裕はなかっただろう。彼はとても异様だった。
何もない空间に手を伸ばし、何かをいとおしむように声を挂けていたのだ。いつものあの心优しい笑颜を浮かべて。ほかの乗客たちは気に留めていないようだった。あるいはみんな、无関心を装っていただけなのかもしれない。仆は従姉の话を反刍していた。あの噂は本当なのか。彼は何かが见えるのか。それとも、気を引くための嘘なのか。だが、知り合いの谁も见ていない场所で、一体谁の気を引こうというのだろう。
その日から、仆は彼が気になって仕方なくなった。彼の眼差し、その先にあるもの、何気ない彼の仕草。彼がいる时ばかりじゃない、其処彼処にある暗、微かな风の戦ぎ、どこからか闻こえてくるささやかな物音。そう、仆は彼を通じて、今までは気にも留めなかった、目に见えない世界を意识するようになってしまったのだ。
「先生から、このままじゃ志望校は无理だといわれたよ」
「どうしちゃったの、ぼうっとしちゃって」
「……」
「あの子と何かあったのか」
「别に何もないよ」
「我慢しなくてもいいのよ、言いたいことがあるならはっきりおっしゃい」
「何にもないったら」
ある訳がない、言える訳がないし。それに、きっかけは彼でも、気にしているのは仆のほうだ。
「何かあったんですか」
「なんでもない、気にしないで」
「そうですか」
彼は机に向かい、一人本を読み始めた。
何を考えているんだ。君は本当に嘘つきなのか、それとも本当に何かが见えるのか、どうなんだ。闻いてみたかったが、其処まで踏み込んではいけないような気がした。年の割りに大人びた彼の伫まいに、彼の人生の过酷さを感じていた。
仆なりに彼のことを调べてみた。大方は従姉の言ったことと変わらなかった。ある亲戚は気味が悪いと言い、别の亲戚は法螺吹きだと笑った。小学生の彼を引き取った亲戚はこう语った。
「预かったその日に、ちょっとあってな」
「すご~い、ここって何」
「纳屋だよ、まあ、物置だな」
「すごい、すごいよ」
「へへ、お前、纳屋がそんなに珍しいのか」
「そうじゃないよ、あれだよ」
「あれ、あれって何のことだ」
「すご~い」
「しゃがんで何もないところをじっと见ながら、ずっとすごいすごいって言ってるんだ。そのうちになんだかこっちは気味悪くなってきてな。あの子の评判も闻いてたし」
「すごいって、何がすごいんだ」
「何がって、これだよ、これ。仆、こんなすごいの初めてだよ!すご~いなあ――」
「よせ」
「だって、こんな――」
「何もねえぞ、そこには」
「え、叔父さん、これ见えないの……」
でも、ある晩、俺一人で纳屋に行ったら、ガサって音がしてな、近寄って见たら、変なべとべとしたもんがこぶりついてて、あんなもんははじめて见た。気持ち悪くて、それから暂くして纳屋は焼いちまった。
「それって本当なんですか」
「本当だ。本当だけど、そんなことわからねし、わかりたくもねぇよ」
あと一つ、彼には玲子という祖母がいて、やはり亲戚から気味悪がられていたという话も闻いた。だが、その人も又闻きでそれ以上详しいことはわからなかった。
そして、数日が过ぎた。仆は寝床でまどろんでいると、不意に嗫くような声が闻こえてきた。
「駄目だ、そんなところに乗ったら」
え?
彼は仆が熟睡していると思ったのだろう。
「おいで、こっちにおいで、さあ、いい子だから……何も怖くないから、来るんだ……そう、そうだよ、よし」
恐る恐る目を开けると、そこには、仆の头の上の何かに语りかけている彼の颜が。
「降りておいで、その人は疲れて寝てるんだ」
「っぁあ――」
「何なの、一体」
「君、由人に何をしたんだ」
「いや、俺は」
「贵志君は何もしてないよ」
「だって、あなた」
「俺の気のせいだったら」
「どうなの、あなた。本当に何もしてないの」
「别に责めようっていうじゃないけど……」
あの时の彼の目、仆には见えないものを确実に捉えた目。なのに、いつもと変わらぬ、优しい眼差し。仆は、自分が彼に捕われていた理由を自覚した。
「とにかく、俺が悪かったから」
ただ、彼のことが、怖かったのだ。
三
「ごめん」
「ごめんなさい」
仆は布団に潜り込んだ。何となく、自分の今の颜を彼に见られたくなかった。
それから数日、彼とは挨拶しか交わさなかった。何を言っても、取り缮いやごまかしにしかならないような気がした。彼の様子が何も変わらなかったけれど、仆は、いや、仆たちの间はぎこちなくなっていた。
そしてその日、仆は彼を散歩に诱った。内心、彼にはっきり寻ねてみようと决めていた。彼の口から真実が闻きたかったのだ。
「あのさ、前から闻こうと思ってたんだけど」
「っ……」
「どうした。おい、おーい」
仆は后を追った。
彼が急いでいた。彼の向かう先には、母亲と三歳ぐらいの男の子がいた。
「待ってよ、何するんだよ」
「ああ、ちょっと、なんなの、あなた……やめて――」
彼は子供を夺うように持ち上げ、そして、突然何もない空间に向かって叫んだ。
「これは、お前が探しているものじゃない」
「いい加减にしろ」
気付くと、仆は彼を突き飞ばして、男の子を夺い返していた。
周囲には人だかりができていた。异様なものを见る人々の视线。视线。视线――
仆はどんな颜で彼を见下ろしていたのだろうか。彼は一瞬仆に目を向けると、すぐにうなだれた。表情はわからなかった。
騒ぎを闻きつけてきた警官は仆たちを警察署に连れていた。说明に困った。适当なことを言ってごまかした仆たちは、廊下の片隅で亲の迎えを待たされた。
「何が见えたんだ」
「え」
「普通の人には见えない何かが君には见えてるんじゃないのか」
「……」
「闻いたんだ、君の噂。多分、あんまり気味の愉快じゃないことばかりだと思う。でも、俺、気になって仕方がないんだ。君が、君が见てるかもしれないものが、本当なのか。本当に见えてるのか」
「もし本当だったら、どうするんですか」
「え」
「本当だったら、それがあなたのためになるんですか」
「……」
「迷惑ですよね」
「迷惑っていうか、困ってる。集中できないんだ、勉强とか、いろいろ……」
「ごめんなさい」
あんなことは言うべきじゃなかったのかもしれない。その后、迎えに来た母は、息子は悪くない、悪いのはこの夏目贵志という子のほうだ。亲戚の间でも迷惑がられている曰く付きの子なのだと、仆と彼の目の前で警官に卷し立てた。
仆は彼の颜が见られなかった。ただ自分が自分の母亲が耻ずかしかった。
それから程なくして、彼が家を出ると闻かされた。远い亲戚の元に预けられるという。彼の引越しも転校もすべてが决まった上で、仆は结论だけ闻かされた。
最后の日はあっけなくやってきた。
「あの日はすいませんでした」
「……」
「でも、あれはああするしかなかったんです」
「うん」
「じゃ、さようなら」
「さようなら」
彼はあの心优しい笑颜を仆に向けて去っていた。
彼がいなくなった部屋で思った。君のことは嫌いじゃなかった。いや、多分好きだ。きっと、もっとうまくやれただろう。君を引き取ってくれた藤原さんは夫妇揃っていい人たちだよ。あの町はきっと君も気に入るだろう。それに、それに……
やめた。こんなこと考えて何になる。仆は、仆の家族は彼の人生をまた少しだけ不幸にしたのだ。
今なら言える、君にすまなかったと。もはや仆も彼を追いやった亲戚の一人だった。
后日、仆は彼が子供を抱き上げた商店街を通り挂った。あれが何だったのか。错覚なのか、あるいは、别の何かなのか。未だによくわからない。
「……っ……え」
ビルの三阶ほどの背丈もある人影が子供に手を伸ばしていた。
「はっ」
気付くと、商店街はいつもの光景だった。子供は无事で、道行く人たちが変な颜で仆を见ていた。
仆はあの日の彼のことを思った。君は一人、谁にどう思われるのも构わず、ただ子供を助けるためにあんなことをしたのかい。きっと今までもそうだったじゃないのか。そして、多分、これからも。だとしたら、君は、君の世界は、なんて孤独なんだろう。
仆は一人、彼の幸せをそっと愿った。
是不是这个
一
今なら言える、君にすまなかったと。
彼が越してくることを知ったのは、高2と高3の间の春休みだった。
「引き取る」
「ああ、仕方ないんだ。お前の部屋においてやってくれないか」
高校にあがったばかりの、つまり仆と同年代の远縁の男の子を、父が引き取るという。
「俺、受験だよ」
「わかってるよ、私たちだってできれば预かりたくない」
「私は反対したのよ」
「よしなさい」
「うちがわざわざ预かることないんですよ、そんな厄介な子。今は立派な施设だってあるんですから」
「そんな不良なの」
「いや、そういうんじゃないんだ、何というか」
「変わってるのよ」
その顷の仆はちょっとナーバスになっていた。受験も勿论だけど、恋爱とか、人间関系とか色々なことがうまくいってなかったのだ。だから、亲戚の子が来ると闻いて、正直迷惑に感じた。一人になりたい所へ急に他人が土足で踏み込んでくるような、そんな郁陶しさを感じていた。
「初めまして、夏目贵志です」
「佐野由人です。よろしく」
「ごめんなさい。せっかくの部屋を二人で使うことになっちゃって」
「いいよ、気にしないで、そういう时もあるよ」
「ありがとうございます」
「まあ、坚苦しくしないで」
「由人は受験だから、そこだけ気を遣ってくれれば、问题ないですからね」
「はい」
「君も年が近いからわかるだろうけど、こいつも色々あってね」
「やめてよ、そういう言い方」
「お友达を连れ込んだり、騒いだり、そういうことがなければいいのよ。分かっていただける」
「はい」
彼との生活は平穏だった。彼は大人しく、礼仪正しい少年だった。仆も彼にとって、决して迷惑な存在ではなかったと思う。冷たくもしなかったし、嫌がらせなんて勿论しなかった。仆は彼の生活に立ち入らず、彼も仆の生活には立ち入ってこなかった。そう、仆たちはそれなりにうまくやっていた。仆の両亲の态度を除いでは。
「お茶を入れましたよ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「どう、勉强」
「あ、それなり」
「そう。贵志君、邪魔しないであげてね、由人は大事な时なんだから」
「はい」
「あ、ごめんね、あんな言い方で」
「いいんです。気にしないでください」
彼は微笑みさえ浮かべていた。多分、伤つく事に惯れてしまってるんだろうと思った。いったい彼は今までどんな风に暮らしてきたのだろう、どんな风に周りとかかわってきたのだろう。
「あ、ごめん。もしもし、あ、久しぶりですね。え、明日こっちに出てくるんですか。はい、大丈夫ですよ。あ、それなら、この前行った吃茶店で……」
「由人君」
电话は年上の従姉からだった。近くに游びに来るついでに、仆の颜を见たいという。
「どう、あの男の子」
「どうって、何が」
「え、由人君あの子の事何も知らないの」
「だから、何のこと」
「そうか、叔父さんも叔母さんも黙ってたのね。君に心配かけたくないんだよ、きっと」
「教えてよ、どういうことなの」
「霊感が强いんだって」
「え」
「见えちゃうらしいの、変なものが。でも家の亲は嘘だろうって言ってたけど。构ってほしくて、そういうこと言うんだろうって」
「あ」
「いい加减行くとこなくなちゃって。それで、叔父さんも叔母さんも断り切れなかったんじゃない。由人君ただでさえ受験なのに、お荷物背负い込むみたいな事、本当はいやだったんだと思うよ」
「あ……」
従姉にはそう言われたものの、仆は信じなかった。オカルトとかそういうものにまるで兴味なかったし、少なくとも、仆の前では、彼は変わらず普通だったからだ。
二
ある日、学校帰りの电车の中で彼を见た。がらがらの车両に彼が乗っていた。彼は电车で一时间ほどの公立校に通っていた。仆の学校とは途中まで路线が同じだった。仆は隣の车両からそれを见ていた。彼はこちらに気づいてなかった、いや、気づく余裕はなかっただろう。彼はとても异様だった。
何もない空间に手を伸ばし、何かをいとおしむように声を挂けていたのだ。いつものあの心优しい笑颜を浮かべて。ほかの乗客たちは気に留めていないようだった。あるいはみんな、无関心を装っていただけなのかもしれない。仆は従姉の话を反刍していた。あの噂は本当なのか。彼は何かが见えるのか。それとも、気を引くための嘘なのか。だが、知り合いの谁も见ていない场所で、一体谁の気を引こうというのだろう。
その日から、仆は彼が気になって仕方なくなった。彼の眼差し、その先にあるもの、何気ない彼の仕草。彼がいる时ばかりじゃない、其処彼処にある暗、微かな风の戦ぎ、どこからか闻こえてくるささやかな物音。そう、仆は彼を通じて、今までは気にも留めなかった、目に见えない世界を意识するようになってしまったのだ。
「先生から、このままじゃ志望校は无理だといわれたよ」
「どうしちゃったの、ぼうっとしちゃって」
「……」
「あの子と何かあったのか」
「别に何もないよ」
「我慢しなくてもいいのよ、言いたいことがあるならはっきりおっしゃい」
「何にもないったら」
ある訳がない、言える訳がないし。それに、きっかけは彼でも、気にしているのは仆のほうだ。
「何かあったんですか」
「なんでもない、気にしないで」
「そうですか」
彼は机に向かい、一人本を読み始めた。
何を考えているんだ。君は本当に嘘つきなのか、それとも本当に何かが见えるのか、どうなんだ。闻いてみたかったが、其処まで踏み込んではいけないような気がした。年の割りに大人びた彼の伫まいに、彼の人生の过酷さを感じていた。
仆なりに彼のことを调べてみた。大方は従姉の言ったことと変わらなかった。ある亲戚は気味が悪いと言い、别の亲戚は法螺吹きだと笑った。小学生の彼を引き取った亲戚はこう语った。
「预かったその日に、ちょっとあってな」
「すご~い、ここって何」
「纳屋だよ、まあ、物置だな」
「すごい、すごいよ」
「へへ、お前、纳屋がそんなに珍しいのか」
「そうじゃないよ、あれだよ」
「あれ、あれって何のことだ」
「すご~い」
「しゃがんで何もないところをじっと见ながら、ずっとすごいすごいって言ってるんだ。そのうちになんだかこっちは気味悪くなってきてな。あの子の评判も闻いてたし」
「すごいって、何がすごいんだ」
「何がって、これだよ、これ。仆、こんなすごいの初めてだよ!すご~いなあ――」
「よせ」
「だって、こんな――」
「何もねえぞ、そこには」
「え、叔父さん、これ见えないの……」
でも、ある晩、俺一人で纳屋に行ったら、ガサって音がしてな、近寄って见たら、変なべとべとしたもんがこぶりついてて、あんなもんははじめて见た。気持ち悪くて、それから暂くして纳屋は焼いちまった。
「それって本当なんですか」
「本当だ。本当だけど、そんなことわからねし、わかりたくもねぇよ」
あと一つ、彼には玲子という祖母がいて、やはり亲戚から気味悪がられていたという话も闻いた。だが、その人も又闻きでそれ以上详しいことはわからなかった。
そして、数日が过ぎた。仆は寝床でまどろんでいると、不意に嗫くような声が闻こえてきた。
「駄目だ、そんなところに乗ったら」
え?
彼は仆が熟睡していると思ったのだろう。
「おいで、こっちにおいで、さあ、いい子だから……何も怖くないから、来るんだ……そう、そうだよ、よし」
恐る恐る目を开けると、そこには、仆の头の上の何かに语りかけている彼の颜が。
「降りておいで、その人は疲れて寝てるんだ」
「っぁあ――」
「何なの、一体」
「君、由人に何をしたんだ」
「いや、俺は」
「贵志君は何もしてないよ」
「だって、あなた」
「俺の気のせいだったら」
「どうなの、あなた。本当に何もしてないの」
「别に责めようっていうじゃないけど……」
あの时の彼の目、仆には见えないものを确実に捉えた目。なのに、いつもと変わらぬ、优しい眼差し。仆は、自分が彼に捕われていた理由を自覚した。
「とにかく、俺が悪かったから」
ただ、彼のことが、怖かったのだ。
三
「ごめん」
「ごめんなさい」
仆は布団に潜り込んだ。何となく、自分の今の颜を彼に见られたくなかった。
それから数日、彼とは挨拶しか交わさなかった。何を言っても、取り缮いやごまかしにしかならないような気がした。彼の様子が何も変わらなかったけれど、仆は、いや、仆たちの间はぎこちなくなっていた。
そしてその日、仆は彼を散歩に诱った。内心、彼にはっきり寻ねてみようと决めていた。彼の口から真実が闻きたかったのだ。
「あのさ、前から闻こうと思ってたんだけど」
「っ……」
「どうした。おい、おーい」
仆は后を追った。
彼が急いでいた。彼の向かう先には、母亲と三歳ぐらいの男の子がいた。
「待ってよ、何するんだよ」
「ああ、ちょっと、なんなの、あなた……やめて――」
彼は子供を夺うように持ち上げ、そして、突然何もない空间に向かって叫んだ。
「これは、お前が探しているものじゃない」
「いい加减にしろ」
気付くと、仆は彼を突き飞ばして、男の子を夺い返していた。
周囲には人だかりができていた。异様なものを见る人々の视线。视线。视线――
仆はどんな颜で彼を见下ろしていたのだろうか。彼は一瞬仆に目を向けると、すぐにうなだれた。表情はわからなかった。
騒ぎを闻きつけてきた警官は仆たちを警察署に连れていた。说明に困った。适当なことを言ってごまかした仆たちは、廊下の片隅で亲の迎えを待たされた。
「何が见えたんだ」
「え」
「普通の人には见えない何かが君には见えてるんじゃないのか」
「……」
「闻いたんだ、君の噂。多分、あんまり気味の愉快じゃないことばかりだと思う。でも、俺、気になって仕方がないんだ。君が、君が见てるかもしれないものが、本当なのか。本当に见えてるのか」
「もし本当だったら、どうするんですか」
「え」
「本当だったら、それがあなたのためになるんですか」
「……」
「迷惑ですよね」
「迷惑っていうか、困ってる。集中できないんだ、勉强とか、いろいろ……」
「ごめんなさい」
あんなことは言うべきじゃなかったのかもしれない。その后、迎えに来た母は、息子は悪くない、悪いのはこの夏目贵志という子のほうだ。亲戚の间でも迷惑がられている曰く付きの子なのだと、仆と彼の目の前で警官に卷し立てた。
仆は彼の颜が见られなかった。ただ自分が自分の母亲が耻ずかしかった。
それから程なくして、彼が家を出ると闻かされた。远い亲戚の元に预けられるという。彼の引越しも転校もすべてが决まった上で、仆は结论だけ闻かされた。
最后の日はあっけなくやってきた。
「あの日はすいませんでした」
「……」
「でも、あれはああするしかなかったんです」
「うん」
「じゃ、さようなら」
「さようなら」
彼はあの心优しい笑颜を仆に向けて去っていた。
彼がいなくなった部屋で思った。君のことは嫌いじゃなかった。いや、多分好きだ。きっと、もっとうまくやれただろう。君を引き取ってくれた藤原さんは夫妇揃っていい人たちだよ。あの町はきっと君も気に入るだろう。それに、それに……
やめた。こんなこと考えて何になる。仆は、仆の家族は彼の人生をまた少しだけ不幸にしたのだ。
今なら言える、君にすまなかったと。もはや仆も彼を追いやった亲戚の一人だった。
后日、仆は彼が子供を抱き上げた商店街を通り挂った。あれが何だったのか。错覚なのか、あるいは、别の何かなのか。未だによくわからない。
「……っ……え」
ビルの三阶ほどの背丈もある人影が子供に手を伸ばしていた。
「はっ」
気付くと、商店街はいつもの光景だった。子供は无事で、道行く人たちが変な颜で仆を见ていた。
仆はあの日の彼のことを思った。君は一人、谁にどう思われるのも构わず、ただ子供を助けるためにあんなことをしたのかい。きっと今までもそうだったじゃないのか。そして、多分、これからも。だとしたら、君は、君の世界は、なんて孤独なんだろう。
仆は一人、彼の幸せをそっと愿った。
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